インプラントが歯周病になったらどうしますか?
インプラントは人工の歯ですから虫歯になることはありませんが、歯周病になる可能性はあります。
と言うのも、歯周病は歯でなく歯肉の病気ですから、いくらインプラントでも歯周病にはなるのです。
さらに言えばインプラントにとって歯周病は脅威であり、天然の歯以上に徹底予防が必要です。
ここではそんなインプラントにおける歯周病の怖さに触れ、実際の予防方法や対策について説明します。
歯周病が脅威なのはなぜか
インプラントは構造上、顎の骨に人工の歯の根を埋め込むことで安定させています。
インプラント体と呼ばれる人工の歯の根、さらに人工の歯にあたる上部構造、
そしてこれらを繋ぐジョイントの役割を果たしているアバットメントの3つの部品から成り立っているのです。
そして、顎の骨に人工の歯の根を埋め込んでいる点から、顎の骨がインプラントを支えていることが分かります。
歯周病になってそれが悪化すると骨が溶かされていきますが、その溶かされる骨こそ顎の骨なのです。
つまり、歯周病になることでインプラントを支える顎の骨が溶かされてしまい、
安定性を失ったインプラントがやがて抜け落ちてしまうのです。
つまり、歯周病になることはインプラントが抜け落ちる要因を作ってしまうことになるのです。
インプラント周囲炎と要因
インプラントを支える顎の骨に炎症が達した状態、
すなわちインプラントの歯周病を正確にはインプラント周囲炎と呼びます。
そして、インプラント周囲炎の要因は、従来の歯周病と全く同じでプラーク内の歯周病菌による感染です。
また、喫煙や噛み合わせの調整を行わないことでも、インプラント周囲炎が引き起こされる可能性があります。
さらに厄介なのが、天然の歯に比べてインプラントの方が口腔内のケアが難しいという事実です。
インプラント周囲炎の予防の基本はプラークの除去であり、いわば毎日の歯磨きです。
ただ、インプラントは元の歯と全く同じサイズにするのは難しいため、
そのせいで歯と歯の間に隙間ができて食べ物が詰まりやすく、従来よりも汚れが溜まりやすいのです。
インプラント周囲炎の予防方法
毎日の歯磨きは言うまでもないですが、それ以外に大切なのはメンテナンスの通院です。
既にインプラントを使用中の人は知っているでしょうが、インプラントは治療後にも定期的な通院が必要です。
これはメンテナンスのためであり、メンテナンスと聞くと一見インプラントの調整を行うように思うでしょう。
それも確かに行いますが、ただ調整するだけでなく口腔内のクリーニングも行っているのです。
これは天然の歯にも言えることですが、自覚症状に乏しい歯周病は予防が難しいだけでなく、
いざなっても自覚症状がないことで初期段階の時点で気付きにくいという問題があるのです。
このため、メンテナンスのたびに口腔内をクリーニングし、歯周病が起きていないかのチェックも行います。
つまり、毎日の歯磨きに加えてメンテナンスの通院を疎かにしないこと、これが最大の予防方法になります。
インプラント歯周炎の治療方法
インプラント周囲炎になってしまった場合の治療方法ですが、これは進行の度合いによって全く変わります。
基本は細菌の除去であり、インプラントの周囲に蓄積した歯石やプラークを専門の器具で除去します。
さらに歯周ポケットに薬剤を詰める、もしくは薬剤でうがいをして口腔内の殺菌も行います。
ここまでが非外科的療法であり、初期段階のインプラント周囲炎ならこれだけで完治可能です。
しかし、非外科的療法で改善が見られないほど進行している場合は外科的療法にうつります。
具体的には、歯肉を切開してインプラント体を取りだして磨く、
もしくは歯周ポケットを切除するといったことを行います。
さらに顎の骨が溶かされてしまった場合は、骨移植やGTR法などの再生療法で対処します。
まとめ
いかがでしたか?
最後に、インプラントが歯周病になったらどうするのかについてまとめます。
- 歯周病が脅威なのはなぜか :進行すると顎の骨が溶かされるため、インプラントが抜け落ちる要因になる
- インプラント周囲炎と要因 :インプラントの歯周病をインプラント周囲炎と呼ぶ。要因はプラークなど
- インプラント周囲炎の予防方法 :歯磨きだけでは不充分。メンテナンスの通院を疎かにしないことが大切
- インプラント周囲炎の治療方法 :症状が進行していると歯肉の切開や骨の再生療法が必要になる
これら4つのことから、インプラントが歯周病になったらどうするのかが分かります。
インプラント周囲炎は怖い病気ですが、歯磨きとメンテナンスをしっかり行えば予防可能です。
また、メンテナンスを欠かさなければ例え症状を引き起こしても初期段階で治療可能です。
インプラントが抜け落ちる事態になってしまうと治療が大掛かりになりますし、
不安だけでなく費用にも影響してきます。
この事実から言えることは、インプラントは天然の歯と同様のケアや注意が必要だということです。